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13:30〜16:00 |
地域住民と共に歩む保健活動
−看護パワーの展開を目指して− |
講師:兵庫県在宅保健師の会会長 池脇政子 |
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行政での保健師の仕事を定年退職後、津名町達者で長生き相談所所長、県立総合衛生学院保健学科非常勤講師、特別養護老人ホーム施設長、デイサービスセンター長、民生委員、介護技術普及講師等で活躍をされてきたご経験を元に、看護職のセカンドキャリアについてお話しいただきました。 |
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【講義の概要】 |
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1.私の体験 |
臨床での看護経験から家庭での予防や適切な処置がないために症状が悪化しているケースに直面し、生活面から健康づくりに携わる保健師として再出発をした。昭和30年代に津名町初の保健師としての勤務につき、以来、50年以上保健師として地域の中で仕事をしてきた。それは、地域の実情を知り、協力者を得、組織的な健康への取り組みを推進し、寝たきりの痴呆性高齢者を訪問するなど、地域に密着した看護実践の積み重ねであった。看護も保健の仕事も、相手と一緒に泣いて笑うことで共感できるものだと実感する。患者や在宅の家族から学んだことは非常に多く、何かをしてあげるという姿勢ではなく謙虚な姿勢で対応することが大切である。 |
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2.在宅保健師が行う地域活動事例 |
保健師のOBで「在宅保健師の会」を設立し、行政、新聞社、ボランティア、老人会と協力して「転倒・呆け予防教室」を開催している。「転倒→骨折→寝たきり→呆け」という連鎖に陥らないためのシリーズ教室として企画し、毎回参加者へのアンケートを実施することで内容の反省と評価を行い、改善を図っている。また、北播で高齢者の生活実態調査を実施し、85歳以上の高齢者の家庭訪問を行った。その他、龍野で温泉を利用した健康相談を開始している。 |
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3.地域活動のポイント |
看護職による地域活動を進める上でのポイントは次の点である。 |
●地区組織、他機関との連携
→福祉への取り組み、地域で信頼性のある人や組織を通じて信頼を獲得
●本人の生き様、性格、環境、経済、家族の状況など生活全般の把握
→その人の背景をとらえてアドバイスをすることができるのがプロ
●日常生活に即した内容でなければ実践に結びつかない
→家庭にある身近な物を利用して、相手が生活の中でできそうな中身で(十数種類の考案紹介)
●診療の場と異なる関わり方
→日常生活上何の役に立つかという看護の立場からのリハビリ、知識を伝えるだけでない関わり
●病気が治るという意味
→生きていたい、生きていて良かったという思いを持てなければ真の意味で病気が治ったとはいえない |
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4.まとめ |
地域での看護を進める上で、健康相談に行きたいと思えるような感動を相手に与えることが、住民に利用してもらえるかどうかの分かれ目である。保健師でも看護師でもどのような思いで仕事に関わるかが大事であり、自分のために、自分の喜びとして看護を実践していきたい。自分の思うときに、思うことを、思ったようにできるというOBの利点を生かして、地域に貢献して欲しい。 |
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