トップページ兵庫県看護協会:モデル事業活動報告 > まちの保健室の住民ニーズについて 東ますみさん

モデル事業活動報告:兵庫県看護協会
3月19日金曜日
10:00〜12:00 まちの保健室の住民ニーズについて
講師:兵庫県立看護大学附置研究所推進センター  東ますみ
3年間にわたり「まちの保健室」の後方支援として看護職の研修・教育等に携わってきた経験を元に、これまでの成果と今後の展望についてお話しいただきました。
【講義の概要】
1.兵庫県方式「まちの保健室」の目的と特徴
兵庫県看護協会が主催するモデル事業としての「まちの保健室」は平成13年に被災地に開設し、災害復興基金の補助を得てスタートした。平成13年7月8市17か所から平成14年度8市20か所へと拡大している。
目的
  震災後の住環境の変化による閉じこもりや、一人暮らしにともなう心身の不安・悩みなどを持つ高齢者および育児に不安やストレスを抱える母親などに対してゆっくり語れる場を提供し、健康に関する相談に応じることで、21 世紀の高齢社会における地域看護に取り組む。
特徴
  ・私的動機により集まった現職の看護師によるボランティア活動であること。
・円滑な運営と資質の向上のために看護系大学や短期大学の教員が専門的な後方支援を行っている。
・実施地区の市や県(行政)と自治会、住民と協働して実施している。
2.A地区災害復興住宅におけるニーズ調査
「まちの保健室」の開催時間と場所
  平成13年7月〜9月:毎週水曜日(月4回)13:30〜15:30
平成13年10月〜現在:第1・2・3水曜日と第4土曜日(月4回)13:30〜15:30
18名のボランティア看護師が4〜5名ずつの4グループに分かれ、グループごとに活動週を固定して対応。
場所:コミュニティプラザ(復興住宅内)

看護師の活動内容

 

・計測、相談、その他
・運営会議(ボランティア全体の情報交換と事例検討、関連機関との連絡調整の場。3 か月に1 回開催)
→会議により、個人記録の作成や血圧管理手帳の活用、交流の場づくりなどの成果が出ている。
・広報活動(チラシの配布、回覧板、ポスター掲示、活動日の看板・案内放送、市政だよりへの掲載、声かけ など)

住民へのアンケート調査について

 

対象:高層賃貸住宅2棟(274世帯)
期間:平成14年11月〜12月
方法:無記名式自記式質問紙調査
「まちの保健室」活動回数:56回(運営会議数13回)
開始時からの来所者:延べ1085名(1 回の来所者数:13年度18名、14年度23名)
有効回答:171部(有効回答率62.4%)

住民の回答より

 

来所したことがある者49名に対し、ない者は122名であるが、「まちの保健室」の必要性については116名が必要性を感じると回答。来所者の特徴としては、無職・通院治療中・過去に病歴がある・開催を知っている・必要性を感じている・70歳代以上ということが挙げられる。来所したことがない者の活動に対する要望としては、来所者に高齢者が多いことを反映してか子育てに関する相談への要望が多かった。

まとめ
  住民は具体的なケアを受けることでボランティア看護師と信頼関係を築き、癒しや安心感、主体的な健康管理、住民同士の支え合いなど、「まちの保健室」のコンセプトを満たした活動が実現しつつある。県の方針として今後4年で県内500か所の活動を目指す中、看護の経験が豊かで人生のベテランでもある定年後の看護職の力に期待がかかっている。
 
このページのトップへもどる