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モデル事業活動報告:兵庫県看護協会
2月4日水曜日
11:15〜14:30 呼吸器のフィジカルアセスメント
講師:フジ・レスピロニクス(株)看護師・呼吸療法認定師 富加見美智子
呼吸ケアの専門企業の方に人工呼吸療法の導入にあたって知っておきたい人工呼吸器の使い方や仕組みについてお話しいただきました。
 
【講義の概要】
1.呼吸の仕組み
自然(陰圧)呼吸は自然に満たされるのに対し、人工(陽圧)呼吸は圧で膨らませる。
●自然呼吸
呼吸中枢刺激→胸郭拡大→胸腔内陰圧→吸気流入→胸郭弾性収縮→呼出
・胸郭、横隔膜が広がることで胸腔内に陰圧がかかる。
・陰圧で空気が流入すると同時に静脈環流が増加する。
●人工呼吸
圧縮空気→気道内圧上昇→肺の圧拡張→胸腔内圧上昇→胸郭弾性収縮→呼出
2.人工呼吸の問題点
●気道、呼吸器系への問題点
気道加湿の低下、気道分泌物の貯留、患者の体位拘束により、無気肺などの合併症が進行しやすい。その他、気道内挿管が必要である。
●陽圧換気と循環系への影響
吸気時の陽圧換気、吸気時の静脈環流低下、気道の圧損傷、肺の弾性と軌道内圧によって、末梢でのうっ血や呼気時の心拍出量低下が起きると、肝機能・腎機能の低下につながる。
●精神面での問題点
気管内挿管にともなう発声不能、体位変換不可能、活動・移動の制限やファイティング、非生理的呼吸パターンといった問題点があり、緩和のために行う薬物による鎮静や筋弛緩薬の使用も含めて患者のストレスや筋力低下、譫妄につながる。
3.人工呼吸の目標
前述の問題点を踏まえ、喚気時の陽圧を低くすること、自発呼吸のアシストとして活用すること、生理的換気パターンで呼吸を行うこと、無気肺などの合併症を防ぐことなどが人工呼吸の目標となっている。
 
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