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14:00〜16:00 |
相談内容の活用方法
−オンブズマン活動から見えるもの−
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講師:(有)たむらソーシャルネット取締役・社会福祉士 田村満子 |
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利用者に対する福祉サービスのへの取り組みとして始まった施設オンブズマンの活動経験から、苦情の解決を目的とした相談対応についてお話しいただきました。 |
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【講義の概要】 |
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1.代弁機能の必要性 |
オンブズマンとは、もともとスウェーデン語で『代理人』という意味であり、サービスの利用者の「声」を代弁する機能を果たすものである。オンブズマンの活動は、すべての利用者は事業者と対等な立場で「契約」によってサービスの利用を進めていくという考え方に基づいて行われる。 |
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2.「声」に近づく |
オンブズマンとして利用者に面接をするために施設を訪問した際、施設内では日頃当たり前となっている光景に違和感や疑問を抱く場合もある。こうした第三者が感じる違和感を大切にすることが、サービスの質の向上につながる。また、利用者の「声」をきちんと聞くためにも、信頼関係の構築を地道に行うことが必要である。 |
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3.「声」を引き出していく姿勢 |
オンブズマンの仕事は、苦情申し立てを受けて調査するだけでなく、進んで具体的な問題について調査することも必要であり、隠れたニーズや顕在化していない苦情を発見していくことも含まれている。利用者の暮らしを知り、「声」を引き出していく姿勢が求められる。 |
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4.すべての「声」を受けとめることで見えてくる全体像 |
利用者側の苦情解決にあたっては、まず利用者の話をすべて聞いた上で、要望なのか、苦情なのか、わがままなのかを見極め、その利用者は本当は何を望んでいるのかを把握し、どうするのがその人にとっていいのかを考えていく。オンブズマンは決して事業者の告発をするのではなく、利用者と事業者の“橋渡し役”である。 |
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5.公正・中立・独立 |
オンブズマンが公正、中立、独立の立場で苦情・相談に対応していくためのポイントは以下の4点である。 |
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●利用者の代弁を可能にする人材と事業者
●苦情解決責任者との関係
●苦情受付担当者との関係
●アンケート・意見箱・巡回等の工夫 |
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6.苦情解決を本当に可能にするのは当事者 |
問題解決を行う主体は、最終的には事業主あるいは施設の組織であり、オンブズマンは日常的に組織全体で取り組むことへの「気づき」を支援する役割を担っている。こうした「気づき」への視点として欠かせないものは次の4点である。 |
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●なぜその苦情があがってきたのか
●二度と同じ苦情が発生しないためにどのような取り組みが必要なのか
●情報は公開されているのか
●契約、サービス提供に関して、説明は果たせているか |
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