トップページ奈良県看護協会:モデル事業活動報告 > 最近の看護の職場をめぐる動き 高橋美智さん

モデル事業活動報告
3月9日火曜日
13:30〜16:00 最近の看護の職場をめぐる動き
−有資格者としての社会貢献−
講師:日本看護協会出版会副社長 高橋美智
定年を迎えたあるいは迎えようとしている看護職有資格者に今後期待される役割と、この研修会が開催される背景の考察および期待されている成果についてお話しいただきました。
【講義の概要】
1.専門職看護の発展
「看護」という行為は、産み・育て・護り・看とるという形で長い間家族の機能の一つとして実践されてきた。一つの職業としての専門看護職が誕生するのは近代に入ってからであり、日本においては1948年に公布された「保健婦助産婦看護婦法」によって初めて看護職の身分と業務が定められた。その後社会背景の変化にともない看護職に対する考え方や担うべき役割にも変化が生じてきたことを受け、同法は平成13年に「保健師助産師看護師法」と呼称を改め、条文の一部が改正された。
2.専門看護職を変化させる要因
看護業務の遂行には、現代における看護の動向を把握することが必須である。
●看護・看護管理に影響を及ぼす要因
・一般的要因・・・少子高齢化の進展、医学・医療の進展、人権思想の高揚、健康に対する意識変化、勤務時間の短縮化、女子の高等教育志向と女性就業者の増加、環境汚染など。
・保健医療福祉制度に関する要因・・・医療法(病院の類別化)、老人保健法(訪問看護制度)、医療保険制度(基準看護・新看護体系)、介護保険法、健康増進法の施行、保助看法の改正。医療関係職種ならびに福祉関係職種の誕生と発展など
・看護内部にある要因・・・看護概念の拡大・業務の増大、看護学の進展(理論化・専門化)、高等教育化の進展、看護識者の意識変化、看護人材の質・量の変化など
●21世紀の看護を担う看護職
看護に関わる社会的要因の将来予測に基づき、社会保障の構造改革が行われようとしている中、看護業に従事できる有資格者が世代を超えて協力体制を築き、行政府や看護職能団体から示されている指針や提言を拠り所に自己変革や組織改革を遂げることが必要である。
3.看護界の喫緊の課題
看護事故・過誤の防止が看護界の喫緊の課題となっている。その対策として、施設等においては、過去の事例を元にしたケーススタディ、ガイドラインの活用・チーム医療の確立といった組織的な取り組み、記録の充実と開示、自己評価と他者評価による質の向上、労働安全衛生マネジメントシステムの確立、学習・教育体制の確立等が行われている。地域においては、在宅医療・介護の充実、「まちの保健室」事業の推進、災害時看護支援体制の構築、ケアワーカー育成事業等への協力といった取り組みが図られている。これら地域における取り組みに、セカンドキャリア世代の看護職の資する役割は大きいと考えられる。
4.医療提供体制の改革
近年の医療提供体制の変化の動向としては、人権・患者尊重の重視、ハイレベルで効率的な医療・看護の提供、人材確保と資質の向上、介護保険制度の見直しといった動きが見られる。こうした変化の中、明日の看護の責任を担う有資格者として、年齢によらずそれぞれに力量を発揮していくことが強く求められる時代を迎えている。
 
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