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セカンドキャリアの先輩たち
下山洋子さん
兵庫県看護職生涯パワーの会代表
相手の声にゆっくり耳を傾け、共感する。
定年を迎えた私たちだからできる看護を見つけていきたい。

下山洋子さん画像

会の運営に関わる「看護職生涯パワーの会」のメンバー。これからの活
動に、夢がふくらみます。

「看護職生涯パワーの会」は、看護協会の事業の一環として定年退職者の力を地域に生かすプロジェクトチームという形で始まりました。平成15年の8月にスタートを切ったばかりの会なので、これから会員を募っていく段階です。今は、6人の創設メンバーで会の規約を作成したり、運営の仕方を話し合っているところです。会員の募集をするために、看護職のOBや退職する方300人にアンケートを出して、150人ほどの方から回答をいただきました。今後その人たちに会員になってもらえるよう働きかけていく予定です。アンケートでも、すでに会員登録したいという回答や、まだ現職で今年退職するのだけど入会できるかという問い合わせもあるので、手応えを感じています。そういった意味では、これからが楽しみです。

今年はすでに、県独自のアクション事業となった「まちの保健室」で、モデルケースとして温泉施設の中にまちの保健室を作る取り組みを始めています。「まちの保健室」は、阪神淡路大震災を契機に震災復興住宅に住む高齢者の健康支援をする目的で、兵庫県が全国に先駆けて始めた事業ですが、今では日本看護協会の支援の下に、全国に広がろうとしています。これまでは、主に現職看護師が相談員でしたが、今後県内の各地域に「まちの保健室」ができたとき、経験も豊かで人をまとめる能力も持っている「看護職生涯パワーの会」のメンバーは相談員としてだけでなく、コーディネーターとしても活躍できるのではないかと思っています。

その他にも、在宅で吸引を必要としている方のお手伝いや准看護師の通信教育の添削、介護認定の審査員、学校などで行う自然学級の救護班、老人会での出前講座などを会の事業として検討しています。同じ看護職の集団といっても、会員の中にはいろいろな能力を持った人がいるはずです。管理の上手い人、実践の上手い人など、それぞれの得意なことを生かしていきたいと思っています。

私自身、定年退職をしてちょうど1年になりますが、何か看護の資格を生かして地域の力になりたいという思いから、デイサービスのお手伝いや介護認定審査をしてみると、そこでは現役時代とまた違った看護の姿が見えてきました。病院の中にいると、自分の役職やそれにともなう責任を果たすことに力を注ぎがちです。しかし、何の肩書きもなく人と人として向き合うと、相手ももっとざっくばらんに話をしてくれます。そういうことができるのも、現役のときより時間がある分、自分自身の心にゆとりができたからかもしれません。相手に心から共感し、うなずき、耳を傾けることができるようになった。それも新たなパワーといえるのではないでしょうか。会のメンバーの一人が、こんなエピソードを話してくれました。ご近所の方が足がとても痛いと相談に見えたとき「辛いでしょうね。痛いのって人にわからないから本当に辛いでしょうね」と言ったら、その一言ですごく気分が楽になったと後で言われたそうです。彼女も昔だったらどうしたら痛みが取れるかと医療処置をすることを真っ先に考えていただろうと言っていました。定年を迎えた今、私たちだからできることがきっとある。そう実感しています。

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