平成12年の介護保険法施行により介護保険事業所の設立が容易になったことから、ナースが自らNPO、会社を立ち上げて介護保険事業を始め、さまざまなケア・サービス事業の経営に乗り出すケースも増えています。現在では、グループホームや特別養護老人ホーム等を開設するナースも登場し、看護職の経験を生かした起業の内容も一層の広がりを見せています。長年の看護の経験の中で、本当に人が求めるサービスとは何かを考えたナースたちが、自らそれを作ってしまおうと立ち上がっています。
介護保険のサービスを受けるためには、コンピュータによる1次判定と介護認定審査会による2次判定で要介護・要支援の認定審査を受けなくてはなりません。介護認定審査会は保健、医療、福祉などの専門職で構成されており、看護職もその一員として活躍しています。また、2次判定は1次判定の結果にかかりつけ医の意見書、訪問調査の結果を加味して検討します。この訪問調査の調査員として働く看護職も多くなっています。熟練した看護の視点は、審査の公平性の確保や利用者にとって真に望ましいサービスを提供する上で、重要な役割を果たします。
「まちの保健室」は都道府県看護協会が取り組んでいる事業で、郵便局、地域の公民館や地区センター、駅、デパートなど、利用者が立ち寄りやすい場所に開設され、健康に関する不安や人間関係の悩みなどを看護職に気軽に相談できます。現在、この事業は全国に広がりを見せており、より多くの相談員となる看護職の人材確保が必要になってきています。定年後の看護職は、人生経験も踏まえ、心にゆとりを持って相談者に対応することができる貴重な人材です。「まちの保健室」が目指す地域に根差した看護の実践には欠かせない大きな力となるものと期待されています。
平成16年より、准看護師から看護師への学校養成所2年課程(通信制)が福岡・大分・山口の3県で開校されます。今後、通信教育による養成校はさらに増える見通しであり、教員の確保が課題となってきます。特に、通信教育では学生のレポートを介して学習が進められるため、このレポートの添削員の役割がとても大きいのです。学習塾などをはじめとする他業界の通信教育では、添削の仕事は女性に人気の在宅ワークとして定着しています。資格とキャリアを生かしながら、看護師資格を目指して努力する後進を支援する添削員は、夢のある仕事といえるかもしれません。
医療業界における就労形態の多様化が進む中、平成16年3月より医療機関への医師・看護師等医療関係資格者の紹介予定派遣が認められることとなりました。紹介予定派遣とは、派遣から一定期間の後に雇い主と派遣労働者双方の合意があれば正規雇用をするというもので、人材派遣会社にとって派遣労働者となる有能な登録者を獲得することが業績を左右する鍵となります。そこで、登録者のスキルを正しくチェックすることや能力開発のための教育研修が必要となり、教育と適材適所のマネジメントができるベテランの看護職にその担い手としての役割が期待されています。