平均寿命の高さもさることながら、老後のライフプランにおいて注目すべきは平均余命です。同簡易生命表によると65歳時の平均余命は男性17.96歳、女性22.96 歳であり、前年より男性は0.25歳、女性は0.3歳延びています。つまり65歳定年の場合、定年後の女性の人生は22年以上、60歳定年であれば27年以上もあることになります。
また、長寿化の一方で、この間に疾病構造も感染症から生活習慣病へと変わり、中でも「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳血管疾患」の三大死因が全死因の6 割以上を占めるようになりました。これら生活習慣病の中には、後遺症等が重篤なものも多く、身体機能の著しい低下、寝たきり、痴呆等に至る場合もあります。これからは単に寿命の延伸だけでなく、いかに健康を保ちながら長生きするかが高齢期の人生を左右する鍵となってきています。
2003年12月に世界保健機関(WHO)が発表した2003年世界保健報告で、日本人の平均健康寿命は加盟192か国中トップという結果が出ています。健康寿命とは、健康に過ごせる人生の長さを表し、平均寿命から日常生活を大きく損ねる病気やけがの期間を差し引いて算出します。同報告による日本人の健康寿命は平均75歳で、男女別では男性72.3歳、女性77.7歳。この試算の公表を始めてから4年連続で男女とも世界一の座を維持しています。世界一の平均寿命に比例して健康寿命も長いのは当然ともいえますが、健康寿命の世界一は、平均寿命の世界一よりさらに価値あるものではないでしょうか。なぜならこのことは、日本のシニア世代が世界で最も元気で活力を維持したまま年齢を重ねていることを表すものといえるからです。これらの数値からも、職業生活からリタイアしてしまうには60歳は早すぎることがうかがえます。 |