まなぶ前に読んでおこう ~生涯学習の考え方~

まなぶ前に読んでおこう

生涯学習は、看護職自身が主体となって、自律的に取り組むことが重要です。

学ぶことは、看護の対象となる人々の健康への貢献はもちろん、看護職として働く自身の安全を守ることやキャリア形成にも繋がります。自身が望むキャリア形成の方向性、ひいては生き方を実現するための方法の一つでもあるからこそ、生涯学習は個人が主体となって行う必要があります。


「わたし」がまなびの主体です!

生涯学習は、看護師であるあなた自身が必要な学びを考え選択し、積み重ねていくものです。積み重ねた学びの先には、あなた自身が望む生き方の実現があります。また、学んだことに基づき、目の前にいる人に対して適切な看護を提供することは、看護師として活動するあなた自身を守り支えることにもつながります。

あなたが働いている組織や上司、そのほかの周囲の人々も学習のための支援をしてくれるでしょう。それらの支援も大いに活用して学びを進めましょう。でもその学びを計画し、学び、実践に活かすのは、自分自身です。オーダーメイドの学びを計画し、「わたし」の学びを進めていきましょう。


まなび続ける!

学ぶことが必要なのは新人看護師だけではなく、中堅看護師も、プラチナナース(定年退職前後の就業している看護職)も、看護師としての経験年数に関わらず、学び続けることがとても重要です。 その理由は、大きく2つあります。


  • ❶ 安全な看護のために知識や技術をアップデート
    医療・看護の進歩や社会・人々の変化が起こるなか、過去に学んだ知識・技術では対処が困難になります。その時代の水準や標準的な方法に即した適切な看護を提供し続けるためには、知識・技術を最新のものに更新していく必要があります。これは、看護職として働くすべての人に必要なことです。
  • ❷ なりたい自分になる/新しい活動にチャレンジ
    働く職場が変わったり、新しい活動にチャレンジしたりするときには、新たに学ぶ必要があります。また、「もっとこんな看護がしてみたい!」「こんな風な活動がしたい!」と思ったときには、期待と同時に不安もあるかもしれませんが、学ぶことが、あなたの希望の実現を支えてくれます。

これからは看護を創造する時代です。

新しい知識を獲得して、新しい看護の価値を創り出していきましょう。


また、ライフイベントなどで一時的に看護の職を離れているときには、可能な範囲で、看護や医療に関する情報に触れ続けておくことを考えてみましょう。看護師として復職を考えるときや、看護師としての知識・経験を活かして何か活動をしたいと思うとき、その積み重ねが、不安を軽減し新しい一歩を踏み出しやすくしてくれます。どんなときでも、看護・医療に関する生涯学習を続けることは、あなた自身のキャリア形成の役に立ちます。

まなびを実践に活かし、実践からまなぶ

生涯学習においては、あなた自身の経験から得た学びや新たに得た知識を実践に活かし、さらにその実践から学びを得るという循環のサイクルを回すことがとても重要です。「学び」と、看護師として働くことなどを通じた「実践」は一体です。

例えば、研修などで学んできた知識は、実際の活動に反映していくことが必要です。そして、実践から学ぶということでは、対象者への看護実践のなかで「うまくいかなかったこと」について、同僚や上司と話して振り返り、今後の対応を考えることもあると思います。それを通じて、自分の実践の中で改善すべきことや、今後取るべき行動がわかった状態が、学びを得た状態です。合わせて「うまくいったこと」についても意識して振り返ってみてください。通常「うまくいったこと」よりも「うまくいかなかったこと」に焦点化されがちですが、「うまくいったこと」こそ、具体的に振り返って、自分の言葉で書いたり話したりして他者にも共有することで、良い循環や学ぶモチベーションの向上にもつながります。そして、得られた学びを、次にあなたが看護を実践するときに活かしていくことが、学びと実践における循環です。

これらは普段看護師として働き活躍する中で行っていることですが、学びと実践の循環を意識して行うことで、学びと実践を積み重ね、循環のサイクルを回しながら、らせんを描くように、だんだんと能力を向上させていくことにつながります。


COLUMN
[コラム]働くことと学ぶことの一体化

 社会人として働き始めてからも学び続けることお重要性は、看護・医療以外の他の職種においても注目されており、国の政策などにも反映されています。様々な変化が起き、一人ひとりの職業人生も長くなってきた今の時代は、一方で、社会の変化のスピード早くスキルの賞味期限が短期化しています。このため、どんな仕事をするにしても、1つのスキル・経験だけでいつまでも活躍することは難しいといわれています。そこで活躍し続けるために必要なこととして「働く」ことと「学ぶ」ことを一体化することが提唱されています。
 「働く」ことと「学ぶ」ことを一体化していくためには、「➀何を学ぶか」「②どのように学ぶか」「③学んだ後に、どのように活躍するか」という3点の好循環を生み出していくことが大切です。好循環を生み出すためには、個人も組織(企業)も、それぞれの立場から取り組むことが重要だといわれています。そして、この循環の中心にあるのは個人のキャリアに関する希望です。それに基づいて、「自分は何を学ぶか」と考えることが、最初の学びです。

【参考文献】経済産業省(2018年)、我が国産業における人材強化に向けた研究会(人材力研究会)

COLUMN
[コラム]働くために学ぶことは努力義務

 日本には「職業能力開発促進法」とい法律があります。
 これは、働く個人が能力開発および工場させることを促進するための法律です。法律には、事業主や国および都道府県が行う職業能力開発促進の責務などが記載されています。
 この法律の2015年の改正の際、第三条の三に、新たに、働く個人の役割も明確に追加されました。「第三条の三 労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上に努めるものとする。」
 この法改正によって、働く人は、自ら学ぶことが努力義務となったのです。ここにある「職業生活設計」という単語は耳慣れませんが、「自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適性、職業経験その他の実情に応じ、職業の選択、職業能力の開発および向上のための取組その他の事項について自ら計画することをいう」とされています。
 法律の文章で見ると難しく感じるかと思いますが、「職業生活設計」という言葉から、ただ学ぶだけではなく、自分自身が希望するキャリアを思い描き、そのキャリアの実現のために必要なことを学ぶことの大切さも読み取ることが出来ます。